SP210 / GP225 の点検・グリース交換・バッテリ交換
GP225 と SP210(形式 YR-1-06VX225)の保守内容は共通です。点検間隔はサーボ電源を入れていた時間で数えます。ハンドリングを高い頻度で行う場合や特殊な使い方の場合は、メーカーと個別に相談が必要です。
モータを外したり、ブレーキを解放したりしないでください。アームが思わぬ方向に回ります。保守作業は電源を切り、「通電禁止」などの表示をしてから行います。また、モータとマルチポートコネクタの間のコネクタを外すと、原点位置データ(ABSO データ)が消えます。
点検間隔と点検項目
| No. | 点検箇所 | 間隔 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 合マーク | 日常 | 原点姿勢でマークが合うか、汚れや傷がないか(またはチェックポイントでのずれ)を目で確認 |
| 2 | 外部全体 | 日常 | 油分のにじみ、亀裂や破損の確認と、じんあい・スパッタの清掃 |
| 3 | ベースのボルト | 1000 h ごと | 欠け・緩みの確認と増し締め |
| 4 | カバー類・コネクタベースのボルト | 12000 h ごと | 欠け・緩みの確認と増し締め |
| 5 | 給電ケーブルコネクタ | 1000 h ごと | 緩みの確認(手で触れて) |
| 6 | ジッパチューブ | 1000 h ごと | スパッタの清掃、穴や破れの確認(あれば交換) |
| 7 | ガスバランサ | 6000 h ごと | 連結部へのグリース補給、ガス圧の点検(必要ならガスの排出・充填) |
| 8 | 機内リード(S〜T 軸、電源基板を含む) | 日常/12000 h/24000 h | 日常は傷や汚れの目視、12000 h ごとにリードの状態と保護ばねの摩耗を確認、24000 h で交換 |
| 9 | 機内バッテリーユニット | 24000 h | バッテリーアラームが出たとき、または 24000 h で交換 |
| 10 | 全軸モータ部 | 12000 h ごと | グリース漏れの確認 |
| 11 | 全軸減速機部 | 12000 h ごと | 異常の確認とグリース交換 |
| 12 | R・B・T 軸ギヤ | 12000 h ごと | 異常の確認とグリース交換 |
| 13 | オーバーホール | 36000 h | メーカーのサービス部門が実施 |
マニュアルでは項目ごとに、ユーザ内の指定作業者・教育を受けた有資格者・メーカーのサービス部門のどれが行うかも分けられています。ガスバランサ下部から、ガスのシール用オイルが少しにじむことがあります。
使うグリース
| 箇所 | グリース |
|---|---|
| 全軸減速機、R・B・T 軸ギヤ | モリホワイト RE No.00 |
| ガスバランサ連結部 | ガダス S2 V220J 2 (EP)(※) |
※ rev 13 から、アルバニア EP グリース 2 の後継品のガダス S2 V220J 2 (EP) に変わりました。互換性があるので、アルバニア EP グリース 2 も引き続き使えます。
防滴仕様(-C00)では、減速機・ギヤに RV グリース LB00 を使います。
減速機・ギヤのグリース交換
守る条件
- 注入前に排出口のプラグを必ず外す。付けたまま入れると、グリースがモータに入ったり、オイルシールが抜けたりします。排出口にチューブを付けるなら長さ 150 mm 以内、内径 6 mm 以上。
- 注入はグリース専用ポンプ(エアー式グリースガンなど)で、7 g/s 以下。1 秒に 2 回吐出するなら 1 回 3.5 g 以下が目安です。ポンプへのエア供給圧は 0.3 MPa 以下が目安。
- 押出しエアでグリースを抜くときは 0.025 MPa 以下。勢いよく飛び出すことがあるので、チューブで容器に受けます。
- 注入口につなぐホースには先にグリースを詰めて、減速機に空気が入らないようにする。
- 減速機やモータを付けた直後は、シール剤が固まるまで 30 分以上待ってから注入する。
注入量(目安)
| 箇所 | 注入量 |
|---|---|
| S 軸 | 4350 g |
| L 軸 | 2180 g |
| U 軸 | 2180 g |
| ケーシング内 R・B・T 軸ギヤ | 2260 g |
| R 軸 | 1910 g |
| B・T 軸 | 1130 g |
手順の要点
- 推奨姿勢をとる。L 軸に入れるときは L 軸 0°、U 軸のときは L 軸・U 軸 0°、R・B・T 側のときは U 軸・R 軸・B 軸・T 軸 0°(とれない場合は U アームを床と水平に)。艤装の都合でとれないときは、注入口が下、排出口が上になるようにします。
- 注入口と排出口のプラグを外し、注入口にグリースニップル A-PT3/8(ロボットに同梱)を付けて注入する。
- グリース交換なら、排出口から出るグリースが新旧半々に見えたところで止めて、手順 5 へ。減速機交換なら、排出口にグリースが見えたところで止める。
- (減速機交換のときだけ)ティーチモードで各軸を 5 回ほど動かし(S・L・U・B 軸 ±45°、R・T 軸 ±90°、速度は任意)、もう一度注入。排出口からあふれたら完了。
- 下の量だけグリースを抜く。容器に受けて重量計で量りながら、排出口からエアで押し出す(0.025 MPa 以下)か、排出口から吸い出します(吸引圧 0.025 MPa 以下)。出にくいときはティーチモードで 5 回ほど動かします。
| 箇所 | 排出量 |
|---|---|
| S 軸 | 不要(0 g) |
| L 軸 | 240 ± 30 g(275 ± 35 cc) |
| U 軸 | 295 ± 40 g(340 ± 45 cc) |
| ケーシング内 R・B・T 軸ギヤ | 115 ± 15 g(130 ± 15 cc) |
| R 軸 | 95 ± 10 g(110 ± 15 cc) |
| B・T 軸 | 55 ± 5 g(65 ± 10 cc) |
- 注入口のニップルを外し、プラグのねじ部を洗浄・脱脂してシールテープ TB4501 を巻いて取り付ける。排出口にはグリース回収袋を付ける。
- なじみ動作をプレイバックで行う。交換した軸を ±45°(R・T 軸は ±90°)、MOVJ VJ=50.00、各動作の後にタイマ 1.0 秒で 15 分間。
- 出たグリースを拭き取り、排出口にもシールテープを巻いたプラグを付ける。
抜く量が少ないと運転中に内圧が上がってグリースが漏れ、抜きすぎると潤滑不足で減速機が早く傷みます。
| 箇所 | 注入口プラグ | 排出口プラグ |
|---|---|---|
| S 軸 | PT1/4、12 N·m | PT3/8、23 N·m |
| L 軸・U 軸 | PT1/8、4.9 N·m | PT3/8、23 N·m |
| ケーシング内 R・B・T 軸ギヤ | PT1/8、4.9 N·m | PT3/8、23 N·m(※) |
| R 軸、B・T 軸 | PT1/8、4.9 N·m | PT1/8、4.9 N·m |
※ ケーシング内 R・B・T 軸ギヤのグリース排出口プラグ(六角穴付きプラグ)は、日本語版の表 5-6 では PT3/8・23 N·m です。英語版は表 5-6 で PT1/8・4.9 N·m としていますが、同じ英語版の図 5-1 では PT3/8 になっています。このページは日本語版の値に従っています。締める前に、実物のプラグの寸法を確かめてください。
ロボットを動かすときは動作範囲に入らないでください。
ガスバランサ
連結部のグリース補給(6000 h ごと)
連結部 ① と ② の注入口・排出口のプラグ(PT1/8)を外し、ガダス S2 V220J 2 (EP)(またはアルバニア EP グリース 2)を入れます。
| 連結部 | 注入量 | 初回の補給だけ |
|---|---|---|
| ① | 8 cc | 30 cc |
| ② | 8 cc | 16 cc |
出てきたグリースを拭き、ねじ部にシールテープ TB4501 を巻いたプラグを 4.9 N·m で締めます。
ガス圧の点検(6000 h ごと)
ガスバランサには高圧の窒素ガスが入っています。窒素以外のガスは入れないでください。作業は換気しながら行い、始める前に L 軸モータのブレーキが効いていること、または L アームが固定されていることを必ず確かめます。
適正圧力はガスバランサの表面温度で変わります。
| 表面温度 | −10 ℃ | 0 ℃ | 10 ℃ | 20 ℃ | 25 ℃ | 30 ℃ | 40 ℃ | 50 ℃ | 60 ℃ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 適正ガス圧力 (MPa) | 10.5 | 11.1 | 11.6 | 12.2 | 12.4 | 12.7 | 13.2 | 13.8 | 14.4 |
ロボットを原点姿勢にして制御盤の電源を切り、ガス注入口にクイックジョイントとガス充填装置(デジタル圧力計付き)をつないで、表面温度と圧力を確認します。適正値より高ければ適正値まで抜き、適正値より 0.5 MPa 以上低ければ適正値まで充填します。
機内バッテリーユニットの交換
バッテリーユニットは 3 個(S・L 軸用、U・R 軸用、B・T 軸用)あり、それぞれマルチポートコネクタの近くにあります。ペンダントにバッテリーアラームが出たとき、または 24000 h で交換します。
- 制御電源が入るとき:制御電源を入れてサーボオフにし、非常停止ボタンを押した状態で作業します。カバーを外し、結束バンドを切って古いユニットを外し、新しいユニットに付け替えます。電源が入っているので、データは消えません。
- 制御電源が入らないとき:バッテリー交換用リードと、交換用とは別のバックアップ用バッテリーユニットを用意します。マルチポートコネクタの「IN」(または「Y」)ポートに交換用リードとバックアップ用ユニットを先につないでから、古いユニットを交換します。こうしないと ABSO データが消えます。
どちらの場合も、最後にコネクタとリードを保護チューブに収めて結束バンドで留め、ケーブルを挟まないようにカバーを戻します。
保守説明書 rev 13 での主な変更
このページは保守説明書の最新版 rev 13 に合わせています。rev 11 からグリース量・周期・締付けトルク・ガス圧の数値は変わっていません。主な変更は次のとおりです。
- ガスバランサ連結部のグリースがガダス S2 V220J 2 (EP) に変更(ガスバランサ交換時の必要品も同じ)
- 部品番号の変更:カラー HW1303371-1 → HW2302825-1、ベアリング押さえ HW0401509-1 → HW2402632-1、皿ばね HW9403617-1 → HW2402633-1
- 対象型式に YR-1-06VX180-120 の -D00 を追加
- 安全の記載:緊急・異常時以外はブレーキを開放しないこと、警告ラベルの一覧を追加
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出典:YASKAWA マニュアル HW1484441(SP210 取扱説明書)、HW1484397(GP225 取扱説明書)、HW1484413.13(GP225/SP210 保守説明書 rev 13)に基づく。