GP50 / GP35L の点検・グリース交換・バッテリ交換
GP50 と GP35L の保守内容は共通で、違うのは R 軸のグリース量だけです。点検間隔はサーボ電源を入れていた時間で数えます。ハンドリングを高い頻度で行う場合は、メーカーと個別に相談が必要です。
警告
保守作業は電源を切り、「通電禁止」などの表示をしてから行います。モータとマルチポートコネクタの間のコネクタを外すと、原点位置データ(ABSO データ)が消えます。
点検間隔と点検項目
| No. | 点検箇所 | 間隔 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 合マーク | 日常 | 原点姿勢でマークが合うか、汚れや傷がないか(またはチェックポイントでのずれ)を目で確認 |
| 2 | 外部全体 | 日常 | 油分のにじみ、亀裂や破損の確認と、じんあい・スパッタの清掃 |
| 3 | ベースのボルト | 1000 h ごと | 欠け・緩みの確認と増し締め |
| 4 | カバー類・コネクタベースのボルト | 1000 h ごと | 欠け・緩みの確認と増し締め |
| 5 | 給電ケーブルコネクタ | 1000 h ごと | 緩みの確認(手で触れて) |
| 6 | ジッパチューブ | 1000 h ごと | スパッタの清掃、穴や破れの確認 |
| 7 | 機内リード(S〜T 軸、電源基板を含む) | 日常/12000 h/24000 h | 日常は傷や汚れの目視、12000 h ごとにリードの状態と保護ばねの摩耗を確認、24000 h で交換 |
| 8 | 機内バッテリーユニット | 24000 h | バッテリーアラームが出たとき、または 24000 h で交換 |
| 9 | 全軸モータ部 | 12000 h ごと | グリース漏れの確認 |
| 10 | 全軸減速機 | 12000 h ごと | 異常の確認とグリース交換 |
| 11 | B・T 軸ギヤ | 12000 h ごと | 異常の確認とグリース交換 |
| 12 | オーバーホール | 36000 h | メーカーのサービス部門が実施 |
マニュアルでは項目ごとに、ユーザ内の指定作業者・教育を受けた有資格者・メーカーのサービス部門のどれが行うかも分けられています。
使うグリース
| 仕様 | 全軸減速機、B・T 軸ギヤ |
|---|---|
| -A00(標準) | モリホワイト RE No.00 |
| -D00 | RV グリース LB00 |
防滴仕様と食品グリース仕様のグリースは 仕様違いのページ を見てください。
減速機・ギヤのグリース交換
守る条件
- 注入前に排出口のプラグを必ず外す。付けたまま入れると、グリースがモータに入ったり、減速機のオイルシールが抜けたりします。排出口にチューブを付けるなら長さ 150 mm 以内、内径 6 mm 以上。
- 注入はグリース専用ポンプ(エアー式グリースガンなど)で、7 g/s 以下。1 秒に 2 回吐出するなら 1 回 3.5 g 以下が目安です。ポンプへのエア供給圧は 0.3 MPa 以下が目安。
- 押出しエアでグリースを抜くときは 0.025 MPa 以下(吸い出す場合の吸引圧も 0.025 MPa 以下)。勢いよく飛び出すことがあるので、チューブで容器に受けます。
- 注入口につなぐホースには先にグリースを詰めて、減速機に空気が入らないようにする。
- 減速機やモータを付けた直後は、シール剤が固まるまで 30 分以上待ってから注入する。
注入量(目安)
| 箇所 | 注入量 |
|---|---|
| S 軸 | 2750 g |
| L 軸 | 1410 g |
| U 軸 | 640 g |
| R 軸(GP50) | 3050 g |
| R 軸(GP35L) | 4700 g |
| B・T 軸、B・T 軸ギヤ | 1310 g |
GP50 / GP35L の保守説明書には、初回の補給だけに使う別の量は書かれていません。
手順の要点
- 推奨姿勢をとる。L 軸に入れるときは L 軸 0°、U・R・B・T 側のときは L・U・R・B 軸 0°(L 軸の姿勢がとれない場合は U アームを床と水平に)。壁掛けでは L 軸を ±90° にします。注入口と排出口の位置は設置方式で変わるので、先に確認します。
- 注入口と排出口のプラグを外し、注入口にグリースニップル(ロボットに同梱)を付けて注入する。
- グリース交換なら、排出口から出るグリースが新旧半々に見えたところで止めて、手順 5 へ。減速機交換なら、排出口にグリースが見えたところで止める。
- (減速機交換のときだけ)ティーチモードで各軸を 5 回ほど動かし(S・L・U・B 軸 ±45°、R・T 軸 ±90°、速度は任意)、もう一度注入。排出口から出てきたら完了。
- 下の量だけグリースを抜く。容器に受けて量りながら、排出口からエアで押し出す(0.025 MPa 以下)か、排出口から吸い出します。出にくいときはティーチモードで 5 回ほど動かします。
| 箇所 | 排出量 |
|---|---|
| S 軸 | 不要(0 g) |
| L 軸 | 190 ± 25 g(215 ± 30 cc) |
| U 軸 | 90 ± 10 g(100 ± 15 cc) |
| R 軸(GP50) | 155 ± 20 g(175 ± 25 cc) |
| R 軸(GP35L) | 235 ± 35 g(270 ± 40 cc) |
| B・T 軸、B・T 軸ギヤ | 65 ± 10 g(75 ± 10 cc) |
- なじみ動作をプレイバックで行う。交換した軸を ±45°(R・T 軸は ±90°)、MOVJ VJ=50.00、各動作の後にタイマ 1.0 秒で 15 分間。動作中にグリースが出ることがあるので、注入口のニップルを外してシールテープ TB4501 を巻いたプラグを付け、排出口にはグリース回収袋を付けておきます。
- 出たグリースを拭き取り、排出口にもシールテープを巻いたプラグを付ける。
抜く量が少ないと運転中に内圧が上がってグリースが漏れ、抜きすぎると潤滑不足で減速機が早く傷みます。
プラグと締付けトルク
| 箇所 | 注入口プラグ | 排出口プラグ |
|---|---|---|
| S 軸 | PT1/4、12 N·m(1.2 kgf·m) | PT3/8、23 N·m(2.34 kgf·m) |
| L 軸 | PT3/8、23 N·m(2.34 kgf·m) | PT3/8、23 N·m(2.34 kgf·m) |
| U 軸 | PT1/8、4.9 N·m(0.5 kgf·m) | PT3/8、23 N·m(2.34 kgf·m) |
| R 軸 | PT1/8、4.9 N·m(0.5 kgf·m) | PT3/8、23 N·m(2.34 kgf·m) |
| B・T 軸、B・T 軸ギヤ | PT1/8、4.9 N·m(0.5 kgf·m) | PT1/8、4.9 N·m(0.5 kgf·m) |
プラグのねじ部は洗浄・脱脂してからシールテープ TB4501 を巻きます。天つりでは注入口と排出口が入れ替わります。
警告
ロボットを動かすときは動作範囲に入らないでください。
機内バッテリーユニットの交換
バッテリーユニット(HW1483880-A)は 3 個(S・L 軸用、U・R 軸用、B・T 軸用)あり、それぞれマルチポートコネクタと一緒に付いています。ペンダントにバッテリーアラームが出たとき、または 24000 h で交換します。
- 制御電源が入るとき:制御電源を入れてサーボオフにし、非常停止ボタンを押した状態で作業します。カバーを外し、結束バンドを切って古いユニットを外し、新しいユニットに付け替えて結束バンドで固定します。電源が入っているので、データは消えません。
- 制御電源が入らないとき:バッテリー交換用リード(HW1471281-A)と、交換用とは別のバックアップ用バッテリーユニットを用意します。マルチポートコネクタの「IN」(または「Y」)ポートに交換用リードとバックアップ用ユニットを先につないでから、古いユニットを交換します。こうしないと ABSO データが消えます。
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出典:YASKAWA マニュアル HW1484658(GP50/GP35L 取扱説明書 rev 6)、HW2481410(GP50 取扱説明書 -D00 rev 1)、HW1484672(GP50/GP35L 保守説明書 rev 3)に基づく。HW2481410(-D00)は日本語版のみ。