アークセンサ デジタル COMARC
デジタル COMARC は、MOTOMAN の**アークセンサ(溶接線倣い)**機能です。カメラやレーザセンサを使わず、溶接電流の変化から溶接線のずれを読み取ります。
原理
定電圧特性の溶接電源では、チップと母材の距離が変わると溶接電流が変わります。アークセンサはこの性質を利用します。
- 左右方向の補正:トーチを左右にウィービングさせ、両端での溶接電流を比べます。トーチが中央にあれば両端の電流は等しく、どちらかに寄っていれば電流が食い違います。両端の電流が等しくなるように軌跡を修正します。
- 上下方向の補正:溶接電流が一定になるように、上下方向の軌跡を修正します。
適用範囲
| 継手 | 板厚 | 溶接速度 |
|---|---|---|
| T 字すみ肉 | 3.2 mm 以上 | 60 cm/分 以下 |
| 重ね | 8.0 mm 以上 | 60 cm/分 以下 |
使用できる溶接電源と制約
- 対応する溶接電源:MOTOWELD-RL350(指定バージョン以降)、MOTOWELD-X350、MOTOWELD-X500、Fronius 社 TPSi。
- ACP02 基板とは併用できません。MOTOWELD を使う場合は、溶接診断機能とも併用できません。
- Fronius TPSi の CMT 溶接に使う場合は、TPSi 側のバージョンをマニュアル指定以降にします。
- 倣いの性能は溶接電源や溶接波形に左右されるため、導入前のテストが推奨されています。
- 機能の設定は出荷時に済んでいます。無効にする必要がない限り、設定は変えません。既存設備に追加する場合は、フィールドエンジニアによるセットアップが必要です。
納品後に行うのは、溶接電源と YRC1000 の接続(CPU 基板 ACP01 の LAN2〈CN106〉、LAN2 を他の機能で使っている場合は LAN3〈CN107〉に LAN ケーブルを接続)と、溶接電源側の設定だけです。
ジョブへの登録
アークセンシングを行う区間を COMARCON と COMARCOF で挟みます。
- 上下倣い条件(U/D)には、ARCON 命令の電流設定値と同じ値を設定する。
- 左右倣い条件(L/R)には 0 を設定する。
- 実際に溶接してみて、狙い位置の調整が必要なら U/D・L/R を調整する。
電流の領域によっては、ARCON で設定した値と溶接機が実際に出す電流が違うことがあります。その場合は、COMARCON を登録するときにセンシング条件を測定します。
倣いが不十分なとき
- ウィービングの片振幅を大きくする。
- ウィービングの周波数を上げる。
- 溶接速度を下げる。
- 溶接指令電圧を下げる(溶滴移行がスプレー移行やパルス移行のときに効果が出やすい)。
いずれも、安定して溶接できる溶接条件・ウィービング条件の範囲で行ってください。
出典:YASKAWA マニュアル HW1486253 に基づく。